平成21年11月21日(土)午前9時頃に,新潟県柏崎市宮川の海岸で貨物船が座礁しました.
新潟日報や読売新聞の報道によると,座礁したのはカンボジア船籍の押し船付き貨物船「YANASE(ヤナセ)202」(キム・チョンテク船長,1187トン)と同船を押していたプッシャーボート(65トン)で,20日午後5時ごろ、新潟西港を出て神戸港に向かっていたところでした.積み荷はなかったとのことです.
事故の発生原因が特異な気象や海象だったかを確認するために,当時の気象および海象を調べました.
まず海象ですが,直江津と新潟の波浪観測所のデータから推測すると事故付近の事故当時の海象は有義波高は約3mで,周期は約6秒,波向きはNWだったと思われます.これは冬季の波浪としては一般的で,波高は大きめではありましたが海象としては特異な点はなかったのではないかと思われます.
また気象ですが,柏崎と,柏崎〜直江津の中間付近の大潟の地上でのアメダスデータをみると,事故当時の地上の風速は約5m/s程度,風向はWSWとなっています.地上では地形の影響を強く受けるので海上の風向や風速とは相関性が低くなるので,これはあくまでも参考にして,次にもっと確実な,天気図より風速および風向を求める手法で推算してみると,風速は7m/s程度,風向はNNWと推測されます.このデータより,事故当時は岸向きの風向ではありましたが,風速はあまり大きくなくなかったので,船を海岸へ吹き寄せる程の強風ではなかったのではないかと考えられます.
補足ですが,直江津付近の海域では能登半島と佐渡島の遮蔽効果があり,沖からの海上風や波浪が直接入射できるNW〜NNWの波向き時に波高や周期が大きくなる性質があります.そういう意味では,事故が発生したときはちょうど沖からの海上風や波浪がこの海域へに入射を始めた時間帯でした.
としても,新潟港を出港して能登半島の沖へ向けて進路をとっているハズの船を柏崎の海岸線付近まで流して座礁させるほどのひどい気象や海象であったとは少し考えにくいです.
事故の原因は海上保安庁が現在調べているので,事実は間もなく明白になるでしょう.
(ソース元:新潟日報,読売新聞)
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