- 参考資料
朝日新聞、読売新聞、新潟日報記事 (1997年1月2日―31日)
- 沈没年月日・位置
1997年1月2日:島根県隠岐島の北北東約106kmの地点
図−1 ナホトカ号沈没位置、船首部漂流コース
- ナホトカ号沈没時の重油流出状況
沈没時積載重油:約19,000トン
船体が船首近くで2つに折れ、沈没。その際、タンク3つが破損し重油約3700トンが流出
図−2 ナホトカ号の破損個所と流出重油
- 積載重油について
積載重油の種類:C重油
性質:揮発性は低く、粘性は重油で最も高い
漂流後の重油:日本海の荒波にもまれ、水分を取り込み体積は2倍以上膨張
冬の低温で粘性さらに増大
粘性指数:400〜1000cSt(50℃)、100,000cSt(15℃、現場)(単位:センチストークス)
- 重油の漂流経緯(1月3日―24日)
1月3日(金)
隠岐島の北北東約110kmの海上で長さ約1,800m、幅約300mの帯状の重油を確認
1月4日(土)船首部分を中心に半径9kmに点在
船首部分から南東4km付近で幅100―500mにわたり濃い部分
沈没場所との間の広い範囲で漂流
1月5日(日)
1月6日(月)
1月7日(火)福井県三国町の雄島付近の海岸に約300mにわたり漂着
石川県加賀市塩屋海岸の灯台付近で重油が漂流
船首部分周辺の重油は南東に幅50―100m、長さ200―300mの帯状に
1月8日(水)石川県加賀市の海岸に重油が漂着
福井県三国町安島岬北東約15kmで厚さ5―10cmの重油が約4kmに
わたり、砂浜に点々と漂着
1月9日(木)京都府丹後町、網野町、兵庫県香住町などで確認
重油の一部が若狭湾内に流入
鳥取市などに重油塊や流出した発泡スチロール片などが漂着
1月10日(金)南北13km、東西12kmの巨大な重油の帯が京都府舞鶴市の成生岬北約8kmにあり、南東の若狭湾沿岸方向へ進行
石川県沖から島根県沖の広い範囲で大小の油塊が多数点在
重油の一部は対馬海流に乗って北上、能登半島北端部にさしかかる
石川県の能登半島西側の沖合9ヶ所で漂流・漂着している重油を確認
1月11日(土)
1月12日(日)福井県高浜町の関西電力高浜原子力発電所の取水口付近のオイルフェンスへ到達
島根県隠岐諸島北東沖で重油が海底から断続的に浮上、長さ18km、幅200mの帯
隠岐諸島の布施村卯敷港岸壁に直径約10cmの油塊2つが漂着
京都府伊根町から兵庫県浜坂町の沿岸約84kmにわたり油塊が漂着
高浜原発は沖合約200mの範囲にオイルフェンスを設置
高浜原発の最外側フェンス中央部に重油が5mにわたり付着、約1kリットルの重油を回収
1月13日(月)能登半島北西から石川県加賀市の沖合15ヶ所で確認
能登半島猿山岬の西北西約18kmの沖合に長さ20km以上に及ぶ重油の帯や塊
1月14日(火)志賀原発取水口付近に漂着
重油先端部は舳倉島付近を通過
能登半島西岸にピンポン球程度の大きさで多数漂着
柏崎原発オイルフェンス設置
1月16日(木)石川県能登半島北部の沖合を東へ進む
能登半島先端部の沖合で長さ37kmに及ぶ巨大な油膜を含む複数の油の帯を確認
能登半島禄剛崎北北東5km沖合で直径1-5cmの粒状の重油が東へ漂流
〃 北北西7kmの沖合で長さ約10kmにわたる油膜や油の塊を確認
能登半島北側の舳倉島で新たに3ヶ所で重油の漂着発見
1月17日(金)禄剛崎の東約5kmの沖合で直径約20mの大型重油を確認
直径20―25mのアメーバ状重油が5・6個連繋
回収した油塊は一片が30cm前後で粘着力はこれまで回収した油塊より
も数段強く、匂いもきつい
能登半島を越えた重油は佐渡方向と富山湾方向の2方向に分離
・佐渡方向:長さ7kmと5kmの2つの油の帯が漂流;30km/日
・富山湾方向:さらに南下、長さ約19kmの重油の帯;25km/日
1月18日(土)禄剛崎北東7―19km沖で直径1―3mの油塊数個
東3kmの海上で南東方向に6kmにわたり小さな油塊が点在
北から東の海上11ヶ所で漂流重油を確認
高波などの影響で分散しながら北よりの風を受けて進路を変え、上越・富山へ
1月20日(月)能生港北西約13km沖合に接近
佐渡小木町にある沢崎灯台下岩場に直径3,4cmの油塊が約100mにわたり漂着
犬神平漁港の湾内に小木町同様の油塊が約80mにわたり漂着
1月21日(火)佐渡小木町沢崎から同羽茂町亀脇に至る素浜海岸で新たに重油が漂着、直径2―5cmの油塊が約1kmにわたり点在
西頚能生町、同名立町、上越市、中頚大潟町の海岸で新たに漂着
名立川河口付近400mの海岸で幅200mにわたり、直径5―15cmの油塊漂着
西頚名立町島ヶ首岬で幅5m、長さ50mの重油の帯
1月22日(水)柏崎市、糸魚川市、中頚柿崎町の海岸に漂着(午前)
悪天候のため、上越市の谷浜海岸以外で重油回収作業中止
佐渡相川町、両津市の海岸に漂着(午後)
中頚柿崎町の海岸約8kmに渡り小豆粒大から直径30cmの油塊
1月23日(木)佐渡真野町、刈羽西山町、三島出雲崎町、西蒲岩室村、同巻町に漂着
1月24日(金)
図−4 1月22日の漂着状況
図−5 1月23日の漂着状況
- 船首部分について(1月4日―20日)
1月4日(土)
京都府経ヶ岬の96kmで時速約2kmで南東に流される
1月6日(月)
京都府経ヶ岬の北北東約69km、福井県福井港の西約45kmの位置
1月7日(火)
三国町の海岸から数百m先で座礁、新たに大量の重油流出
1月14日(火)
座礁中の船首部の抜き取り作業(船首部固定など)開始
1月16日(木)
午後から重油抜き取り作業開始
7室に分かれている船首のタンクの一室ごとに約50cm四方の穴をあけ、ポ
ンプで抜き取る
1月17日(金)―20日(月)
- 船体部分からの重油について(1月10日―13日)
1月10日(金)
島根県沖の沈没地点の東約40kmの地点で長さ40km幅約40―100mの新たな重油の帯が確認
1月11日(土)
タンカー沈没地点近くで新たに長さ約20km、幅約1.8kmの巨大な油の帯が発見。沈没した船体に残った12,500kリットルの重油の一部が漏れだした可能性有り
1月13日(月)
沈没現場の東側で長さ34km、幅100―200mの油の帯を確認、帯の東端には沈没した船体から湧出したと見られる直径1―10mの油膜がいくつも点在
- 除去作業経緯(1月10日―13日)
1月5日(日)
1月6日(月)
1月7日(火)
1月8日(水)
福井県三国町沖合に漂流してきた重油を中和させる処理剤を散布。また、海岸ではひしゃくやバケツなどで、漂着重油の除去作業開始
ヘリコプターで油処理剤900リットル以上を散布
三国町安島岬付近でタール状になった重油が場所により厚さ20cmになり、バッキュームカーなどで30kリットル以上の重油を除去
1月9日(木)
石川県加賀市の砂浜ではショベルカーを使って除去作業開始。また、岩場ではひしゃくやバケツを使った手作業
- 回収された重油の量(1月13日・26日現在)
1月13日(月)現在
石川、福井、京都、兵庫、鳥取、島根で合計約6,600kリットル回収
福井県:27,303kリットル回収
石川県:自衛隊・土のう約14,800袋、住民ら・ドラム缶1,944本
京都府:網野町や久美浜町で土嚢約30,000袋、舞鶴市周辺で漁船がドラム缶320本合計8,868kリットル
1月26日(日)現在新潟県内で中頚柿崎町の353,400リットルを最高に約109,700リットル回収