- はじめに
夏本番になり気温が上昇すると,世界中のどこの地域でも人々が海岸へ集まり,海水浴やサ−フィン等をして楽しみます.そういう意味では,海岸は人々の娯楽に欠かせない貴重な場所です.
しかし,その楽しい場所も,時には悲惨な事故現場となります.毎年多くの人が海水浴中の事故等で亡くなっており,日本国内では年間約200名以上の尊い人命が失われています.
この事故原因にはいろいろありますが,その原因のひとつに『離岸流(りがんりゅう)』に流されたということがあります.
『海水浴中,いつの間にか沖へ流され溺れてしまった』 というニュースを見聞した人は多いと思います.
実は,この流れが『離岸流 (Rip Current) 』なのです.
では,この「離岸流」とは何なのか.この流れを事前に見分けることは可能なのか.
また,もし不運にもこの流れに遭遇してしまった場合にはどうすればいいのか.
このページでは,そういうものを解説します.
このページを海に遊びに行く前に是非ご覧いただき,事故防止に役立てていただければ幸いです.
事故防止の知識を活用し,ご家族・ご友人と,夏の海辺の楽しいひと時をお過ごしください.
- 注意!低波浪でも離岸流事故は発生します!
(流速2m/sの離岸流は高波浪時だけ!)
お願い (離岸流は2m/sばかりではありません)
最近,「離岸流」というと「毎秒2m以上の流速...」が枕
詞になってしまっていますが,これは波高2m以上の高波浪時です.
離岸流事故は遊泳可能な0.5m程度以下の波高でも
発生しています.
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事故は主に足が届かなくなる場所で発生します.
そこでは足を水底へのばしており,手かきだけで流れに逆らっています.
手かきだけでは0.3m/s程度の離岸流にも逆らうことができません.
溺れる、溺れない の違い 足が届くかどうか!
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第九管区海上保安本部管轄内(2001〜2014年)
離岸流事故は低波高(0.6m以下)でも発生している
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- 海水浴時の一般的な離岸流の流速
海水浴ができる波高は0.5m程度までです.
離岸流は波高に対応しており, 波高が増大すると,対応して離岸流の流速も増大します.
海水浴時の離岸流は,波高20cm程度でも,毎秒15cm/s程度の離岸流が発生します.
また,その流速でも事故は発生しています.
離岸流は,押しては引く波浪で生じる流れなので,振動しながら沖へ流れます.流速は平均値で,瞬間最大値は更に大きくなります.
また,地形によって同じ波高でも離岸流の流速が増大する事もあるので注意が必要です.
波高と離岸流流速の関係(観測値)
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- 可視化した離岸流の画像・動画
本研究室では,航空写真・動画は80m-100mの上空から撮影しています.
通常,砂浜の上に20m間隔にスケールとなる白色や赤色のターゲットマーカを設置している
ので,その長さを参考にしてください.
離岸流で流される人目線の動画例
ヘッドカメラで撮影
画像クリックで動画再生(YouTube)
有義波高0.62m,周期6.2秒,平均流速0.5m/sの離岸流です.
このような映像を下に多数掲載しています.
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波高 |
UAV(ドローン)(上空から) |
離岸流内 |
陸上から |
離岸流の種類 |
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波高 0.0 m- 0.2 m |
有義波高0.15m,周期4.3秒
波向:画面左斜め上方から入射
平均流速:10cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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機動救難士が離岸流に漂流しながら撮影
画像クリックで動画再生(YouTube)
海上保安庁の機動救難士の方にカメラを持ち,離岸流に流されてみていた
だきました.
突堤横の腰下くらいの水深から入水しました.秒速10cm程度の流速です
が,突堤沖へ流され,更に突堤を越え反対側の沖まで流されました.
小さなお子さんからちょっと目を離した
隙に沖へ流されてしまうので,絶対に目は離さない
でください.
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海岸から見た離岸流発生状況
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突堤横の離岸流
左方向からの海岸に平行な流れが突堤で遮られ,そこへ集中した流れは沖へ流
出します.
海岸沿いの流れを遮蔽するので,離岸流の流速は同じ波高でも他のパターンと比較
して大きくなります.
このケースでも,小さい波高ですが10cm/sの流速で,1分
間で6m進行しました.
小さなお子さんからちょっと目を離した隙に
沖へ流されてしまうので,絶対に目は離さないでください.
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波高 0.2m- 0.3m |
有義波高0.27m,周期5.2秒
波向:画面左斜め上方から入射
平均流速(海面着色剤散布場所):20cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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離岸流で流される人の視点
ヘッドカメラで撮影
画像クリックで動画再生(YouTube)
離岸流に流される様子です.波高0.27mでも秒速20cm/s程度でゆらゆ
らと沖へ流される様子が分かると思います.
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離岸流発生場所の視点
離岸流先端部からの風景
汀線から約100m沖合い
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海岸から見た離岸流発生状況
波高0.27m時の離岸流幅
左右から集まった流れは,離岸流となり沖へ流出します.
この時の波高で, 離岸流幅は約2-3m
でした.
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カスプ地形の先端部付近の離岸流
カスプ奥部へ集中する波浪が波向の影響でカスプ先端部へ集中し,先端部
付近から斜めに流出する離岸流です.
汀線よりも水底側に大きなカスプがあり,その等深線に沿ってカスプ地形の先
端部から離岸流が流出しているイメージです.
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有義波高0.30m
波向:画面右斜め前方から入射
平均流速:33cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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海岸から見た離岸流発生状況
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波高 0.3m- 0.4m |
有義波高0.38m,周期5.4秒
波向:画面左斜め上方から入射
平均流速(海面着色剤散布場所):27cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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離岸流発生場所の視点
画像クリックで動画再生(YouTube)
ヘッドカメラで撮影
沖から波が入射しているのに,沖へ向かって緑色の染料がユラユラと流れていく
様子が分かります.
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海岸から見た離岸流発生状況
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カスプ地形の先端部付近の離岸流
カスプ奥部へ集中する波浪が波向の影響でカスプ先端部へ集中し,先端部
付近から斜めに流出する離岸流です.
汀線よりも水底側に大きなカスプがあり,その等深線に沿ってカスプ地形の先
端部から離岸流が流出しているイメージです.
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有義波高0.40m,周期3.5秒
波向:画面左斜め上方から入射
平均流速(海面着色剤散布場所):20cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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離岸流で流される人の視点
ヘッドカメラで撮影
画像クリックで動画再生(YouTube)
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離岸流発生場所の視点
ヘッドカメラで撮影
画像クリックで動画再生(YouTube)
離岸流先端部からの風景 汀線から約100m沖合
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海岸から見た離岸流発生状況
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有義波高0.38m,周期3.6秒
波向:画面右斜め上方から入射
平均流速(海面着色剤散布場所):27cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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海岸から見た離岸流発生状況
画面右上方から波浪が入射しており,その振動の影響を受け,離岸流
はノコギリ歯状に振動しながら画面左上方向へ流出しています.
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カスプ地形の先端部付近の離岸流
カスプ奥部へ集中する波浪が波向の影響でカスプ先端部へ集中し,先端部
付近から斜めに流出する離岸流です.
汀線よりも水底側に大きなカスプがあり,その等深線に沿ってカスプ
先端部から離岸流が流出しているイメージです.
また画面右上方から波浪が入射しており,その振動の影響を受け,離岸流
はノコギリ歯状に振動しながら画面左上方向へ流出しています.
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波高 0.4m- 0.6m |
有義波高0.52m,周期3.4秒
波向:画面左斜め上方から入射
平均流速(海面着色剤散布場所): 33cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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海岸から見た離岸流発生状況
画像クリックで動画再生(YouTube)
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カスプ地形の先端部付近の離岸流
カスプ奥部へ集中する波浪が波向の影響でカスプ先端部へ集中し,先端部
付近から斜めに流出する離岸流です.
汀線よりも水底側に大きなカスプがあり,その等深線に沿ってカスプ 先端部か
ら離岸流が流出しているイメージです.
波浪の入射が海岸に直角に近いため,離岸流の流出方向も直角に近くなり
ます.
カスプの先端部付近では流れが滞留しています.
沖合いで右向きに流向が変化し,さらに一部は岸向きの流れとなりますが,
これは離岸流ではありません.並岸流や向岸流などといいます.
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これ以上の波高時は離岸流の流速が大きくなるので,水辺で遊ぶだけで,泳がない方が良いと思います
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波高 0.6m- 0.8m |
有義波高0.62m,周期6.2秒
波向:ほぼ真上から入射
平均流速(海面着色剤散布場所):50cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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離岸流で流される人の視点
ヘッドカメラで撮影
画像クリックで動画再生(YouTube)
離岸流に流される様子です.海岸にほぼ直角に沖へ流されました.4分
間で沖へ80mほど流されました.まだ沖へ流されていましたが,戻るのが大
変になるので,沖へ100mほど流されたところで中断しました.
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離岸流で流される人の視点
ヘッドカメラで撮影
画像クリックで動画再生(YouTube)
離岸流に流される様子です.波高0.6mでも秒速40cm/s程度の流速
で海岸に斜め方向に沖へどんどん流されます.離岸堤の沖まで出てし
まい危険を感じたので,100mほど沖へ流されたところで中断しました.
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離岸流先端部からの風景 汀線から約100m沖合
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海岸から見た離岸流発生状況
海岸から見た離岸流発生状況
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カスプ地形の先端部付近の離岸流
カスプ奥部へ集中する波浪が波向の影響でカスプ先端部へ集中し,先端部
付近から斜めに流出する離岸流です.
汀線よりも水底側に大きなカスプがあり,その等深線に沿ってカスプ
先端部から離岸流が流出しているイメージです.
また画面右上方から波浪が入射しており,その振動の影響を受け,離岸流
はノコギリ歯状に振動しながら画面左上方向へ流出しています.
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波高 0.8m- 1.0m |
有義波高0.96m,周期6.5秒
波向:画面右斜め上方から入射
平均流速(海面着色剤散布場所):90cm/s
画像クリックで動画再生(YouTube)
UAV(ドローン)で空撮
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海岸から見た離岸流発生状況
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流下方向に突堤があるカスプ地形の先端部付近の離岸流
カスプ奥部へ集中する波浪が波向の影響でカスプ先端部へ集中し,先端部付近か
ら斜めに流出する離岸流です.
また画面左側の離岸流流下方向に突堤があり,その影響を受け,離岸流は更に沖
向きへ流出します.
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波高 1m- 2m |
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波高 2m以上 |
有義波高2m以上
報道がよく解説する「オリンピック選手なみの流速
」になる波高です.
海面着色剤がすごい勢いで流れているのがわかると思います.
腰から下までの水深の場所での作業ですが,ここでも急流で,
これ以上の深い場所は危険です.
流速が大きいので,足を大きく開き重心を落として,波の動きに注意しながら作業し
ていました.
この時の平均流速は2m/s程度で
した.
雨風が強く,UAVで上空から撮影することはできませんでした.
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川のように流れる離岸流場内の映像
画像クリックで動画再生(YouTube).
船の航跡のように見えますが,一箇所に立ち,定点から撮影しています.
流れの激しさが分かると思います.
波高が少しでも大きいときは決して海に入ら
ないようにしてください!
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腰くらいの水深での目線
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海岸から見た離岸流発生状況
画像クリックで動画再生(YouTube)
海岸から見た離岸流発生状況
腰から上の高さの波が来ると簡単に流されてしまうので,このような波高時は,
絶対に海に入らないでください.
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離岸堤が沖にあるカスプ地形の先端部付近の離岸流
離岸堤と離岸堤の間から波浪が入射し,砂浜付近では波浪がカスプ地形へ斜めに
入射するパターンとなります.
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観測の詳細は「9. 離岸流の観測手法」へ.
- 事故が発生する理由および対策例
事故が発生する概念図
1.水遊びの場合
(1) 普通,「安全領域」の腰くらいの水深で水遊びをしますが,移動するときは,ジャンプ
しながら移動するなどの理由で,少しずつ沖に流されます.
(2) 胸から上の水深になって,浅い方へ戻ろうとしますが,体が浮いてしまい,強く地面を
蹴ることができず,沖向きの流れに逆らえずに更に沖に流されてしまいます.
2.遊泳する場合
胸から上くらいの水深で泳ぐので,既に安全領域ではなく,足が踏ん張れない状態で
す.
沖向きの流れがあっても逆らうのが困難となっています.
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事故が発生しないための対策例
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4. 波が高い時に泳いではいけない理由
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低波高時
低い波高での離岸流に流されても,流速や規模が小さい事から,ゆっくりと流され,しかもあまり沖に出ません.
また波高も低いので浮いていても呼吸がしやすので,事故となる可能性は低いです.
高波高時
高い波高での離岸流に流されると,早い流速で,かなり沖まで流されてしまいます.
しかも波高が高いので頭から波をかぶり呼吸が困難となり,事故となる可能性が極めて高くなります.
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5. もし離岸流に巻き込まれたら
・まず落ち着くこと.パニックに陥るのが一番危険です.
・そして次のどちらかを実行してください.
■方法1
- 流されている方向を見定める
- 流れに対して横方向に泳ぎ離岸流から出る
(右図参照)
→ 「8. 離岸流の発生パターン」参照
決して流れに逆らって岸方向に泳がない
→ 「6. 離岸流に逆らって泳ぐのに必要な体力」参照
■方法2(泳ぎが苦手な人)
- 浮くことに専念する
泳ぐことが苦手な人の場合には,無理をするとすぐに疲れて溺れてしまうので,泳いだり余計なエネルギーを使わないようにする
- 流れが弱くなるまで流れに身を任かす
離岸流は徐々に弱くなります
- 次の3ついずれかで岸へ戻ります
- 自力で岸へ戻る
- ボート等で救助される
- 向岸流で岸に近づく
(※1)
(注意:向岸流は常に発生しているわけではありません)
(※1)
沖で弱まった離岸流は,今度は岸に向かう『向岸流(こうがんりゅう)』となり,岸に向かって流れることがあります.常に発生しているわけではありません
→ 「7.(4) 離岸流発生場所の特徴」参照
海水浴に適した波高での離岸流は規模は大きくないので,あまり沖まで流されることはありません.
また浮いていてもあまり波はかぶりません.
しかし,波高が大きいときの離岸流は規模が大きくなります.海水浴禁止の時には絶対に入水しないでください.
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6. 離岸流に逆らって泳ぐのに必要な体力
離岸流の流速が1m/sだったとしましょう.
これは時速に換算すると3.6 km/hであり,人の歩く速さと同じくらいです.
この数字を見て「意外と遅い」と感じる人も多いと思います.しかし,これは25 mプールを25秒で泳ぐのと同じ速さです.この速さで泳いでも同じ場所にとどまるだけで,岸に戻るためには,更にそれ以上の速さで泳ぎ続けなければなりません.
離岸流に逆らって泳ぐためには,いったいどれくらいの体力が必要か,簡単に計算してみましょう.
1m/sの流速の離岸流で20m流されたので,この流れに逆らいながら戻る場合 |
自分の泳ぐ速さ:25mプールを20秒で泳ぐ速さ=1.25m/sと仮定.
(私もジムで泳ぎますが,私のほぼ全速のスピードです.笑)
・離岸流の流速: 1m/s (25mプールを25秒で泳ぐ速さ)
・流速差=1.25m/s-1m/s=0.25m/s
⇒つまり,離岸流の流速に逆らって泳ぐ速さは0.25m/s
(1m進むのに4秒かかります.)
・この状態で20m泳ぐために必要なタイム:20m/0.25m/s=80秒
・流れのない(流速=0)場所で80秒泳いだ場合の移動距離:1.25m×80秒=100m
つまり,100m泳ぐエネルギーが必要となります.
★★ 結論 ★★
25mプールを20秒で泳ぐ速さで...
のと同じ体力が必要.
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いかに離岸流の流れに逆らって泳ぐのが大変かわかるかと思います.
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7. 離岸流とは
(1) 離岸流が発生する海象および流れの種類(波の運動で振動しながら流出.川の様な流れではない)
ところで、離岸流はどういう種類の流れに分類されるのでしょうか.
実は,離岸流は「波浪」によって生じる「海浜流」の一種です.よって,波の動きにあわせ数秒ごとに流向や流速が大きく変動します.
つまり離岸流は,波の影響を受け,左右に振動しながら沖へ流出します.
下図は,離岸流の数値シミュレーション結果です.
上図のベクトル(矢印)は,平均流速と流向を表します.図中,場所によって沖向きの流れと岸向きの流れとなっています.このうちの沖向きの流れが「離岸流」です.更に,下図は,上図の白丸点における1分間の流向・流速の時間変化を示します.図より,流向は時間経過で沖向きや岸向きに振動しますが,平均すると沖向きに約20 cm/sの流速となります.
このように,離岸流は河川や潮汐のような一方向の流れではない振動流であり,平均すると沖に流出する流れです.
図 離岸流のシミュレーション結果
上図:離岸流場のベクトル(平均流)
下図:赤点での流速の時間変化
沖向きと岸向きに振動しており,平均すると沖向きに0.19m/sの
流速=離岸流となる.
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引き波時:周りよりも強く沖へ流されます
押し波時:周りと一緒に岸方向へ押し戻されます
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押し波と引き波を繰り返しながら沖へ流されるのが離岸流です.
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よって,離岸流の発生条件は波浪の状態に強く影響を受けます.つまり,時間によって離岸流の発生状況が変わることもあります.
よって海に入るときは,その場所で離岸流が発生しているかどうかを常に見極めることがとても大切なのです.
下図は,同じ場所ですが,午前と午後の3時間ほどの差で,波向きが変わり,離岸流の流出方向が変化したケースです.
図 波向の変化で離岸流の流向が変化した例
左図:午前,右図:午後
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(2) 離岸流発生場所の特徴,離岸流の見つけ方
波が複雑に挙動する海岸では,離岸流の発生場所を見つけるのはなかなか難しいのですが,それでも発生場所では幾つかの特徴があります.
■水面の特徴
周りと異なり,海岸へ入射する波が交差するなどして,水面が細かく乱れていたりします.
離岸流が発生している場合 |
離岸流が発生しない場合 |
■砂浜の上から見た場合@(波打ち際で波が交差している)
波が交差している場所付近の沖側で発生することが多いです.
■砂浜の上から見た場合A(砕波状況が周りと異なる)
周りよりも砕波した時の白波が少ないことが多いです.
■離岸流の中にいる場合(引き波時強く沖へ引かれる)
引き波時にザーと流される感じで沖への強い流れを感じます.
膝下くらいの水深から発生しており,こういう場所では要注意です.
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■砂浜の上から見た場合(波が平行に入射している)
波が交差せずに平行に入射しているときは,離岸流は発生しません.
流れは海岸に平行な沿岸流となります.
波が平行に入射している場合は離岸流は発生しない
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■離岸流が発生する場所および方向,離岸流と向岸流
下図のように砂浜のカスプ地形の奥まった場所を基点に波の入射方向と反対方向へ離岸流が発生していることが多いです.
また,沖に流出した離岸流は,沖で流れが弱くなり,その後,向岸流(こうがんりゅう)として岸に向かう流れとなることもあります.
図 離岸流発生場所の水面の特徴
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(3) 発生する離岸流の大きさ,流速
既往の研究成果より,離岸流が発生する場合,流速や長さ等は海底勾配や波浪の条件などで把握できます.
・離岸流の流速(波高に対応し増大)
下図のように波高に対応して発生する離岸流の流速は増大します.
波高15cm程度でも10cm/sの流速の離岸流が発生します.
また,遊泳可能な波高(0.5m)以下でも最大で40cm/s程度の離岸流が発生します.
波高と離岸流流速の関係(観測値)
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・離岸流の長さ,幅(波高に対応し巨大化)
遊泳可能な波高0.5m程度であれば,離岸流の長さは数十メートル程度であり,離岸流の幅も数メートル程度です.
しかし,遊泳禁止となる波高1m程度以上になると,離岸流の長さは100mを越え,離岸流の幅も10mを越え,巨大化します.
・離岸流の流速変化(沖に出るほど流速低下)
下図は,波高1 m程度の時の離岸流の流速例です.図より,汀線に近い場所で流速が大きく,沖に出るほど流速が小さくなります.
また、沖に出た流れはその後向きを変え,岸向きの流れ(向岸流)となります.このように、離岸流の発生する近くでは向岸流が発生しており,2つあわせて循環流が生成していることが多いです.
図 離岸流の流速分布
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また、離岸流は1箇所だけで発生するわけではなく,ビーチカスプが連続する海岸では,入射する波の長さ(波長)の2〜6倍程度の間隔で離岸流が幾つも発生します.
よって海に入る時には,どこで離岸流が発生しているかを常に見極めることがとても大切です.
(4) 離岸流の発生メカニズム,発生する地形の特徴
波は沖から海岸に入射しますが,下図に示すように,海岸地形に褶曲があると,海水(波ではない)は褶曲の奥部などに集中します.集中した海水は沖へ流出しなければならないので,最終的には沖へ流出する「通り道」が生成します.この流れが「離岸流」です.
特に砂浜海岸は,直線状ではなく,沖方向へ少し突き出たり,逆にくぼんだりする褶曲した地形となる事がありますが,これをカスプ地形といいます.
カスプ地形が存在する海岸では,離岸流が発生しやすいと考えられます.
- 砂浜海岸
砂浜海岸は一直線だけではなく,沖方向へ少し突き出ていたり,逆にくぼんでいたりする褶曲した地形(カスプ地形)が多く存在します.
波が海岸に垂直に入射する場合
波浪はカスプ地形の奥部に集中し,集中した水は沖へ流出を始め,これが離岸流となります.
また,波は浅い方向へ回折する特性があり,波は先の尖った部分へ集中します.ここでも離岸流が発生します.
ここへは褶曲奥部で発生した離岸流が合流することもあります.
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波が海岸に斜めに入射する場合
カスプ奥部へ集中する波浪が波向の影響でカスプ先端部へ集中し,先端部付近か
ら斜めに流出する離岸流です.
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図 離岸流発生メカニズム(砂浜海岸)
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離岸流は,元々は上に示すような砂浜海岸で発生することが知られていましたが,それ以外では,突堤などや離岸堤の影響でも離岸流は発生します.
- 突堤付近
海岸が直線状の場合
突堤付近で一方向の沿岸流が発生し,突堤の根元に集中します.
集中した水は突堤の横を一気に沖へ流出します.
流速も大きくなるので特に注意が必要です.
最近ではこのケースによる事故が多発しているようです.
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海岸に褶曲地形(カスプ地形)が存在する場合
砂浜の離岸流同様,カスプ地形の先端部でも離岸流が発生します.また,流下方向の突堤へも波浪が集中し,突堤の横を流出する離岸流が発生します.
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- 離岸堤付近
離岸堤の背後では,回り込む循環流が発生し,流れの集中によりカスプ地形が発達します.
波浪が海岸へ直角に入射する場合
離岸堤の背後では,回り込む循環流が発生し,沖向きの離岸流となります.
しかし,離岸堤があるのでまっすぐ沖には流出せず,離岸堤を避けて分岐して流出します.
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離岸堤が複数あり,波浪が海岸へ斜めに入射する場合
離岸堤と離岸堤の間から波浪が入射し,砂浜付近では波浪がカスプ地形へ斜めに入射するパターンと同様な離岸流が発生します.
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(5) 離岸流について(まとめ)
■
波(寄せて引く波:振動流)によって生じる流れ
■
岸から沖方向への強い流れ
・寄せて引く波(振動流)を平均すると沖向きの流れになる.
(一方向流ではない)
→「シミュレーション」で説明
・流速は波高に対応し,波高0.15m程度でも0.1m/s程度の離岸流が発生する.
また,波高1m程度では0.9m/s程度の流速となる.
・離岸流の幅は弱いときには3m程度,強い時には大きいもので10m以上
→「観測」で説明
■流れが集中する場所
例えば...
1. 構造物付近
(海岸から沖へ直角に突き出た突堤など)
2. 砂浜海岸で...
・汀線(海岸線)が円弧状に屈曲している場所
・砂浜上面がデコボコ状に波打ってる場所
など...
→「発生パターン」で説明
■離岸流付近では,波が細かく振動していたり,流出した砂で海水が汚濁していることがある
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8. 離岸流の観測手法
■UAV(ドローン)を用いた海面着色剤散布実験例
本研究室では,新潟県内などの海岸で離岸流調査をおこなっています.
ここでは海面着色剤を散布する事により離岸流を可視化して観測をおこなった例を紹介します.
- 観測日・場所など
観測場所:新潟県北蒲原郡聖籠町網代浜
観 測 日 :平成26年-2014年9月17日(水)
観測時有義波高:9.8m,周期:5.8s
- 観測機材
- 観測結果
下の写真は海面着色剤の散布状況です.
このように着色した離岸流が拡散する状況を,UAV(または「ドローン」)を用いて上空から撮影しました.
このときの流速分布を示します.海岸付近で一番流速が大きく,沖に出るほど流速が小さくなります.
この流速分布の求め方ですが,下の写真は散布後1分半,2分,3分半の拡散状況です.
写真より,30秒間で約20m進行しているのがわかります.この時の平均流速を求めると0.7m/s程度となります.
このとき着色剤を腰の深さくらいの水深で散布していましたが,強烈な沖向きの流れを感じていました.
散布後1分半
散布後2分
散布後3分半
観測時動画1 (YouTube)
観測時動画2 (YouTube)
■メモリ式GPS浮標追跡調査例
上で紹介した海面着色剤を利用できない調査などでは,メモリ式GPSを利用した浮標を海に放流し,漂流することにより得られた軌跡から離岸流の規模や速さなどを求めることもあります.
ここでは,この観測例を紹介します.
観測場所は,下図のように椎谷漁港の突堤横で実施しました.
ここは長岡から近い海岸で,気軽に行くことができることから観測技術の向上の目的で利用しています.
Fig. 観測場所(新潟県柏崎市椎谷)
Fig. 航空写真(新潟県椎谷漁港,新潟県HPより転載)
- 観測機材
Fig. 観測に用いた機材(左:紐,中央:浮標,右:GPS)
(GPSを浮標内に組み込み海水へ投入し漂流させ位置の移動情報を取得する)
- 観測結果
Fig. 観測結果(2005年12月8日)
Fig. 観測結果(2006年1月14日)
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9. 離岸流のシミュレーション
実際の海岸や写真などからでは離岸流を見ることが難しいので,シミュレーションを行い流れの可視化を行いました.
波浪条件は,新潟の砂浜海岸を想定し,有義波高1m,周期9秒の波浪を入射させました.
また,地形は一様勾配としましたが,砂浜および離岸堤のケースでは実地形同様に約70m毎に小さな谷をつけました.
砂浜の離岸流のシミュレーション
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離岸流が発生している波浪アニメーション.
波浪の水位変動アニメーションに水深と,このときの離岸流ベクトル図を重ねたもの.
ベクトル図を見ないと離岸流が発生していることがわりません.
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離岸流の波浪場で,離岸流が沖へ向かう場所から染料を放出したケース.
離岸流ベクトルに従って沖へ流出します.
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離岸流の波浪場で,離岸流が岸へ向かう場所で染料を放出したケース.
離岸流ベクトルに従って,岸方向へ進行しますが,沖向きの流れにかわった場所から沖へ流出します.
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突堤横の離岸流のシミュレーション
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離岸流が発生している波浪アニメーション.
波浪の水位変動アニメーションに離岸流ベクトル図を重ねたもの.
ベクトル図を見ないと離岸流が発生していることがわかりません.
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突堤横の離岸流の波浪場で,染料を放出したケース.
離岸流ベクトルに従って,突堤横を沖方向へ進行します.
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離岸堤付近の離岸流のシミュレーション
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離岸流が発生している波浪アニメーション.
波浪の水位変動アニメーションに離岸流ベクトル図を重ねたもの.
ベクトル図を見ないと離岸流が発生していることがわかりません.
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離岸流の波浪場で,離岸流が岸へ向かう場所で染料を放出したケース.
離岸流ベクトルに従って,離岸堤横を沖方向へゆっくり進行します,小さい循環流で岸向きへ進行する場所もあります.
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上図は流れを平均した流況図です.
図中,矢印(ベクトル)は,平均した流れの向きと大きさを表します.場所によって,沖向きの流れと岸向きの流れ場があることが分かります.
この沖向きの流れが離岸流です.
このように,離岸流は平均をすると沖に流出する流れですが,実際にはいろいろな波浪が複雑な挙動をしているので,よく観察しないと分からない,とても危険な流れであることが分かります.
10. 新潟市周辺での離岸流事故発生状況
第九管区海上保安本部から提供していただいた海浜事故情報のうち,2001年から2014年の期間で新潟市周辺で発生した事故を下図に示します.
このうち,赤文字で示したものが離岸流に関係する事故と考えられるものです.
海岸名は削除していますが,図より,どの海岸でも離岸流が原因と考えられる事故が発生していることがわかると思います.
上図の事故発生時の波高をまとめたのが下図です.
・海水浴に適した波高(0.5m程度まで)での事故は,全体の半数です.
・また海水浴に適さない高波高での事故も,全体の半数を占めています.
・砂浜海岸だけでなく,突堤や離岸堤など構造部付近でも発生しています.
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11. 離岸流に関する研究について
離岸流は,不規則波の影響で沿岸流が汀線方向に一様でない条件で発生すると考えられ,様々な理論が考えられてきましたが,実際には離岸流は褶曲地形などの海岸で発生することから,実海岸での適用には様々な問題がありました.
しかし,近年の波浪数値シミュレーション技術の向上により,離岸流場を把握できるようになり,更に,近年のドローン(無人航空機)の登場により,上空から手軽に観測できるようになったことなどで,理論と実現象の実証が比較的容易にできるようになりました.
しかし,どこでどのように離岸流は発生するのかを理屈で理解しても,波が複雑に挙動する海で離岸流の発生場所を見つけるのは慣れが必要であり,これが事故防止になかなかつながらない原因の1つとなっていると考えられます.
また,既往研究では,砂浜で発生する離岸流についてのみが焦点となり,扱われていましたが,日本では砂浜海岸だけでなく,近くに突堤や離岸堤などの海洋構造部が設置されていることが多く,こういう場所では,構造物の影響を受けた離岸流も発生することから,これらについてもしっかりと把握する必要があると考えられます.
本研究グループでは,様々な条件で発生する離岸流の動態を把握し,水難事故防止のための知見を少しでも多く得ることを目的としています.
離岸流に関する研究成果(発表論文)
- 犬飼直之,山下晃史,山本浩,"突堤が設置されたカスプ地形海岸で発生する離岸流の流況把握",土木学会,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 74,No.2,I_1411-I_1416,2018.
- 犬飼直之,山下晃史,山本浩,"突堤が設置されたカスプ地形海岸で発生する離岸流の流況把握",日本船舶海洋工学会/日本海洋工学会,海洋工学シンポジウム論文集,第27巻,OES27-017,2018.
- 山下晃史,犬飼直之,"網代浜海岸における離岸流流速および発生間隔の定量把握に関する研究",土木学会,土木学会関東支部新潟会研究調査発表会論文集,第35巻,pp.114-pp.117,2017.
- 犬飼直之,櫻井龍亮,山本浩,"新潟市五十嵐浜における離岸堤付近で発生する離岸流の流況把握",土木学会,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 73,No.2,I_1465-I_1470,2017.
- Naoyuki Inukai, Takeshi Ootake, Hiroshi Yamamoto and Tokuzo Hosoyamada,"A Study for the Generation Mechanism of the Rip Current at the Enclosed Beach by the Groin",Coastal Engineering Proceedings, American Society of Civil Engineers (ASCE),Vol. 35,waves.14_pp.1-pp.8,2017.
- 犬飼直之,櫻井龍亮,山本浩,"複数の離岸堤付近で発生する離岸流の流況把握",土木学会,土木学会論文集B3(海洋開発),Vol. 73,No.2,I_186-I_191,2017.
- 犬飼直之,"様々な地形条件で発生する離岸流の流況について",水難学会,第7回水難学会学術総会予稿集,季刊ういてまて,第12巻,第2号,pp.26,2017.
- 犬飼直之,櫻井龍亮,山本浩,"離岸堤付近で発生する離岸流の流況把握",日本船舶海洋工学会/日本海洋工学会,海洋工学シンポジウム論文集,第26巻,OES26-023, pp.1-6, 2017.
- 犬飼直之,川村龍,小宮和樹,"波浪条件の変化による内灘海岸における離岸流発生間隔の変化",日本船舶海洋工学会/日本海洋工学会,海洋工学シンポジウム論文集,第26巻,OES26-025, pp.1-6, 2017.
- 犬飼直之,小宮和樹,福元正武,石野芳夫,坂井良輔,"ADCP移動観測による内灘海岸における離岸流の計測",土木学会,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 72,No.2,I_85-I_90,2016.
- 犬飼直之,川村龍,小宮和樹,"ADCP移動観測による内灘海岸で発生する離岸流の把握",土木学会,土木学会関東支部新潟会研究調査発表会論文集, 第34巻,pp.98-101,2016.
- Naoyuki Iukai, Yoshifumi Ejiri, Takeshi Ootake and Hiroshi Yamamoto, "Generation Mechanism of the Rip Current at the Enclosed Beach by the Groin", Techno-Ocean 2016 International Symposium, pp.493-498, 2016.
- Naoyuki Inukai, Takeshi Ootake, Hiroshi Yamamoto and Tokuzo Hosoyamada,"A Study for the Generation Mechanism of the Rip Current at the Enclosed Beach by the Groin",35th International Conference on Coastal Engineering,American Society of Civil Engineers,Vol. 35,wave.14 p.1,2016.
- Naoyuki INUKAI, "New Method of Measuring Rip Current by Water Colorant and Drone", The 4th Workshop on the Water Rescue and Survival Research, The Society of Water Rescue and Survival Research, 2015.
- 犬飼直之,江尻義史,大竹剛史,山本浩,細山田得三,"新潟東港周辺における突堤で囲まれたカスプ地形海岸での離岸流の生成機構について",土木学会,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 71,No.2,I_1687-I_1692,2015.
- 犬飼直之,江尻義史,大竹剛史,山本浩,細山田得三,"両端を突堤で囲まれたカスプ地形を有する砂浜海岸における離岸流の生成機構について",土木学会,土木学会論文集B3(海洋開発),Vol. 71,No.2,I_1191-I_1196,2015.
- Naoyuki Inukai, Takeshi Ootake, Hiroshi Yamamoto and Tokuzo Hosoyamada,"A Study for the Generation Mechanism of the Rip Current at the Enclosed Beach by the Groin",Proceedings of the Annual International Offshore and Polar Engineering Conference,The International Society of Offshore and Polar Engineers,Vol. 25,pp.1359-1364,2015.
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犬飼直之,大竹剛史,山本浩,細山田得三,"突堤付近における砂浜海岸での離岸流の可視化および発生予測について",土木学会,土木学会論文集B1(水工学),Vol. 71,No.4,I_715-I_720,2015.
- 犬飼直之,小宮和樹,米江駿介,"石川県内灘海岸における離岸流による海浜事故原因解明のための基礎的研究",土木学会,土木学会関東支部新潟会研究調査発表会論文集,第32巻,pp.176-179,2014.
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犬飼直之,江尻義史,大竹剛史,山本 浩,細山田得三,"数値実験による離岸流の可視化について",土木学会,土木学会関東支部新潟会研究調査発表会論文集,第32巻,pp.180-183,2014.
- 細山田得三,村川はるみ,犬飼直之,"離岸流と地形変形の相互作用に関する数値計算",土木学会,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol.67, No.2,pp.1_556-1_560, 2011.
- 村川はるみ,細山田得三,犬飼直之,"離岸流と地形変形の相互作用に関する数値計算",土木学会,土木学会関東支部新潟会研究調査発表会論文集,第29巻,pp.114-117, 2011.
- 犬飼直之,木下茂生,橋本融,山田文則,"海浜事故防止のための波浪推算および調査に関する研究",土木学会,海洋開発論文集,第23巻,pp.667-672, 2007.
- 木下茂生,犬飼直之,細山田得三,"新潟県の海浜事故防止のための基礎的研究",土木学会,土木学会年次学術講演会要旨集,第61巻,2006.
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12. 調査・実践依頼について
いろいろな組織から離岸流に関する調査などについての依頼や質問をいただいています.
基本的には,ご依頼いただければ,国内外どこでも調査に伺うスタンスをとっています.
その場合の経費ですが,組織が国立大学法人なので,基本的には交通費や消耗品などの直接経費に3割程度の間接経費を加えた金額を,「研究助成金」として本学と契約する方式となります.
内容は,現地調査をおこないデータを取得後,解析や数値計算をおこなって流動機構を明らかにするような手法になります.
また,どうしても調査費用を計上できない組織からのご依頼でも,啓発効果が大きい場合や,人命にかかわることや国にとって重要な案件である場合には,こちらの研究活動の一環として調査を行わせていただくこともあるので,ご相談ください.