東北地方太平洋沖地震(東日本大震災,東北関東大震災)津波シミュレーションおよび津波調査,漂流物拡散シミュレーション,原発排水拡散シミュレーション English Page Japanese Page
    College of Engineering Nagaoka University of Technology
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    2011年3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖津波について


    津波再現シミュレーションと現地調査,漂流物・原発排水拡散予測シミュレーション

    調査結果をGoogle Earth上に表示させました (H24.5.24)

    ピンをクリックするとその場所の調査日時,痕跡高(TP値),現場写真などがご覧になれます.
    ダウンロードこちら (Google Earth KMZファイル,15KB)


    Contents (↓クリックでジャンプ)
     津波シミュレーション

    ■津波シミュレーションに用いたモデルについて
    ■シミュレーションに使用した地形データ
    ■津波シミュレーションに必要な震源地域の変動量の決定
     ◎断層パラメータ
     ◎地盤の隆起領域
     ◎地盤の隆起量
     ◎地盤の隆起/沈降の挙動・変動時間
    ■津波の伝播アニメーション
     ◎日本周辺
     ◎太平洋全域
    ■計算結果との比較
    ■津波の伝播時間
    ■津波の最高水位
     ◎日本周辺〜三陸周辺
     ◎太平洋全域

     津波痕跡調査

    ■調査調査目的
    ■調査領域および調査期間
    ■痕跡の探し方
     ◎痕跡例
     ◎浸水痕跡
     ◎遡上痕跡
      ・分かりやすい境界例
      ・境界付近の特徴
      ・分かりにくい境界例

     ◎痕跡の時間変化
    ■痕跡調査イメージおよび遡上高を求める考え方
     ◎現地調査イメージ
     ◎津波遡上高を求める考え方
    ■潮位に関する各基準面の関係(八戸,久慈)
    ■位や潮位表潮位と各基準面の関係,各基準への換算例(八戸,久慈)
    ■調査結果例(TP値で表示)
    ■調査現場写真(調査風景,山斜面から海)

     漂流物・原発排水拡散予測シミュレーション

     ■計算条件
     ■計算結果


    ■■津波シミュレーション■■

    平成23年3月11日(金)14時46分頃に,三陸沖を震源とする強い地震が発生しました.
    気象庁の発表によると,震源の位置は北緯38度06.2分,東経142度51.6分、震源の深さは約24km, マグニチュードは気象庁発表で当初8.8でしたが,13日に9.0に修正されました.
    震源付近の水深はおよそ1,600mです.

    この地震の特徴は,気象庁発表(「平成23年東北地方太平洋沖地震」について(第15報))にあるとおり,3つの巨大な破壊が連続して発生したことにより,地震エネルギーが巨大になったことです.

    これにより,東北地方の太平洋側で津波を観測しました.
    気象庁の観測では宮古市と大船渡市で8.5メートル以上,福島県相馬市で7.3メートル,宮城県気仙沼市で6.0メートル,港湾空港技術研究所の調査では宮城県女川市で約15メートルなどです.
    また,津波の遡上高では岩手県大船渡綾里地区で約24メートル,岩手県久慈市で約13メートルでした.
    (ソース元:気象庁,Asahi.com,Yomiuri on line)

    計算結果ですが,各地の水位変動の観測値と計算結果とを比較すると,津波の到達時間はかなり正確に把握できましたが,地形の影響を受けやすい波高や,細かい波形の再現はできていませんが,定性的には津波の挙動を再現できているのではないかと考えています.

    水位時間変動のグラフをみると,地震発生後に近いところで10数分で津波が到達しています.北海道へも30分程度で到達しています.また,津波は引き潮から始まっています.
    津波の最大波は第2波に最大となる場所も多くあります.また,津波発生後30時間が経過をしても水位が激しく変動しており,異常水位状態が継続しているのがわかります.

    また,津波は太平洋を日本とは反対側の東方向へも伝播した他,微弱ですが日本海へも伝播しています.
    結果によると,地震発生から8時間(22時半過ぎ)ほどでハワイへ到達している他,9時間ほど(23時半ころ)にはカナダ・バンクーバー付近へ到達します.


    地形図

    ■津波シミュレーションに用いたモデルについて

    対象領域が南北に長くなり,地球の球面を無視できなくなることから,球面座標系の平面2次元モデル(←モデル紹介ページへ)を用いた.

    ■シミュレーションに使用した地形データ

    日本周辺海域ではNOAA (National Oceanic Atmospheric Administration) NGDC (National Geophysical Data Center)から提供されている,地球全域の標高・水深を1分間隔の格子情報で表わしたEtopo1を使用しました.
    また,太平洋全域では,計算速度を向上させる目的からEtopo1を6分間隔に変換した地形データを使用しました.

    ■津波シミュレーションに必要な震源地域の変動量の決定

    国土地理院によると,今回の地震の規模は下表の諸元で表わされます.
    これは矩形断層2枚での推定結果です.
    西側に傾き下がる逆断層で,モーメントマグニチュードは北側が8.8,南側が8.3,2つ合わせて8.9となっています.
    参考までに気象庁の震央は東経142.861°,北緯38.104°

    ◎断層パラメータ
    諸元断層1断層2
    緯度38.80°37.33°
    経度144.00°142.80°
    上端深さ5.1km17.0km
    長さ186km194km
    129km88km
    走向203°203°
    傾斜角16°15°
    すべり角101°83°
    すべり量24.7m6.1m
    Mw8.8m8.3m

    ◎地盤の隆起領域領域
    国土地理院の発表資料によると,茨城県大湊北部から青森県八戸の領域にかけての領域で地盤が変動した可能性があるとの事と,上に示す断層パラメータより,南北約380km,東西約130kmの領 域で地盤が隆起した模様である.

    ◎地盤の隆起量
    加藤ら(2010)は地震エネルギーと震央付近の地盤の変動量の関係を求めています.
    それによると,今回のようなマグニチュード8.8の規模の場合では6mの隆起量となります.

    加藤文章,地震津波の発生判断基準および伝播予測手法の開発,長岡技術科学大学工学研究科修士論文,2010年3月.

    ◎地盤の隆起/沈降の挙動・変動時間
    気象庁地震予知情報課(「平成23年東北地方太平洋沖地震」について(第15報))によると,6分程度で岩手沖から茨城沖の3個所が順次変動した. 最初の震央は宮城県沖で100秒ほど継続し,その50秒後に福島県沖で100秒,更にその直後に 茨城県沖で100秒の海域が変動した.
    本シミュレーションではこれを参考に,最初の100秒は岩手県沖,2番目の100秒は福島県沖,3番目の100秒は茨城県沖で順次地盤が隆起したと仮定した.

      0-100sec岩手沖の変動
      100-160sec福島沖の変動

    震源初期水位変動 (地震発生から160秒間)
    (0-100秒間:岩手沖,100-160秒間:福島沖)

    ■津波の伝播アニメーション

    ◎日本周辺


    津波発生後の伝播状況(0-2時間)
    (2つの断層が時間差変動)

    ◎太平洋全域


    津波発生後の伝播状況(2-30時間)

    ■観測結果との比較
    ※計算結果は陸近くの沖波です.
    実際に陸へ到達する際には地形や水深の影響で更に増幅される事があります.



    浦河
    (縦軸のスケールは沖波波高用)


    八戸
    (縦軸のスケールは沖波波高用)


    宮古
    (縦軸のスケールは沖波波高用)


    釜石
    (縦軸のスケールは沖波波高用)

    ■津波の伝播時間

     

    津波発生後の伝播時間(日本周辺)
    (単位:分)


    津波発生後の伝播時間(太平洋)
    (単位:分)

    ■津波の最高水位

    ◎日本周辺〜三陸周辺
    三陸南部地域が特に到達波高が大きくなっています.また相馬付近でも一部高くなっています.
    ※3図で波高のスケールが異なるので注意してください.

    日本周辺

    東日本

    三陸〜福島

◎太平洋全域

太平洋全域

■■津波痕跡調査■■
■調査目的

・初期段階:研究組織全体で手分けしての調査
・第二段階:各自の研究テーマに沿った調査

今回の震災では,北海道〜沖縄,海外ではハワイやアメリカ西海岸などへ到達し,膨大な領域で多数の被害が生じました.
この領域を各自が別個に調査をおこなう事は不可能である事から,調査領域を分担し,土木学会海岸工学委員会を中心に情報を集約しました.
この情報は将来的には共有され,誰でも利用できるようになる予定です.
また,5月以降はある程度の情報が得られた事から,それ以後は第二段階として,ただ痕跡高を調べて記録をするだけではなく,各自が自分のテーマに沿った調査をおこなっています.

■調査領域および調査期間 (下図をクリックすると拡大します)

■痕跡の探し方

◎痕跡例

津波の痕跡は建物の壁の浸水高や,山の斜面などに残る遡上部の最頂部で見つける事ができます.

家屋に着いた痕跡例
(岩手県九戸郡野田村)

枯葉の有無による痕跡例
(岩手県下閉伊郡普代村)


◎浸水痕跡

家屋や壁に綺麗に痕跡がある場合には問題ありませんが,風雨や波浪などで洗い流され,時間の経過とともに痕跡が薄くなり判別が難しくなってしまったり,また被災時に何回も押し寄せる津波によって浸水したせいで何本もの痕跡が残り,どこが最大波の痕跡なのか判別をするのが難しい場合があります.
この場合は,まわりの痕跡と比較をしながら一番高い痕跡を探します.

比較的分かりやすい痕跡例
(複数の痕跡があるが,最頂部の痕跡が明瞭に残っている)
(宮城県気仙沼市)

複数の痕跡がある例
(下の数本の痕跡よりも最頂部の痕跡がとても薄い)
(青森県八戸市)


◎遡上痕跡

津波が遡上した地面と遡上していない地面の大雑把な判別は,今回の津波の場合,山の斜面では枯葉の有無で,市街地の近くではゴミの散乱の有無でする事ができます.
遡上の最上部(境界)は,枯葉がない海岸線から山の斜面に上がっていくと枯葉が現れるので,その場所が境界になるので,その場所を探します.
また浸水面を拡大して見てみると,小さな草木は洗い流され地面が露出し,更に地面からは無数の気泡痕跡のようなものがあり,柔らかくボロボロになっています.
現場の山の斜面を歩く場合,このようなつかまる草木もなくボロボロで滑りやすい山の急斜面を歩かなければならないので,十分な注意が必要です.
住居が近い場合には,ゴミが散乱する場合が多くなりますが,海岸線から標高の高い方へ上がるとゴミがなくなります.その場所が境界付近になります.

●分かりやすい境界例

遡上痕跡例
(画面右側が遡上していない場所.2011年4月4日,岩手県久慈市)

遡上痕跡例
(画面左側が遡上していない場所.2011年4月4日,岩手県下閉伊郡普代村)

遡上痕跡例
(画面右側は遡上した場所.居住地付近ではゴミが散乱する)
(2011年4月4日,岩手県九戸郡野田村)

遡上境界部
(右側が遡上して浸水した場所,左側は枯葉が堆積している)
(2011年4月4日,岩手県久慈市)

浸水していない地面
(枯葉が堆積している)
(2011年4月5日,岩手県久慈市)

浸水した地面
(枯葉が無い)
(2011年4月4日,岩手県久慈市)

浸水した地面の拡大
(無数の気泡痕があり,表面はボロボロで崩れやすい状態)
(2011年4月4日,岩手県久慈市)

●境界付近の特徴

境界付近の特徴
(表土の一部が下に滑落している)
(2011年4月3日,岩手県久慈市)

境界付近の特徴
(草や小枝が塊状になって,引っかかっている)
(2011年4月3日,岩手県久慈市)

●分かりにくい境界例

分かりにくい境界の例
(杉の小枝が散乱している場合)
(2011年4月3日,岩手県久慈市)

分かりにくい境界の例
(急斜面で痕跡が残りにくい場所)
(2011年5月20日,岩手県宮古市)


◎痕跡の時間変化

枯れた植物による変色
浸水した笹が茶色に変色をしている)
(岩手県宮古市,2011年4月23日)

枯れた植物による変色
(浸水した場所は,新緑期でも草木が少なく枯木が多く残っている)
(岩手県宮古市,2011年5月20日)

■津波調査イメージおよび遡上高を求める考え方 (レーザー距離計の場合)

◎現地調査イメージ

津波の痕跡高さを求めるにはいろいろな方法がありますが,私たちはレーザー距離計を使用しています.
レーザー距離計はカタログ上では水平距離1,000mくらいまでを計測可能とありますが,実用では500m程度です.
レーザー距離計には傾斜計も内蔵されており,ターゲットまでの直線距離の他に水平距離や鉛直距離(標高差)も計測する事が可能です.

(作業手順)(下図を参照してください)
1.津波の痕跡境界を探す.(急斜面が多く,被水後は土が緩くなっている上に掴む草木も少ないので,滑落など怪我に十分に注意する)
2.境界を見つけたらターゲットマーカーをセットしてレーザー距離計で水平距離および鉛直距離(標高差)を計測する.(無線機があると便利です)
 また,時間やGPSでの位置情報,状況を記録する.
3.次に,海面までの水平距離および鉛直距離(標高差)を計測する.(注意)
 また,海面までの距離を計測した時間やGPSでの位置情報,状況を記録する.
(注意)
 レーザー距離計では水面を直接計測する事ができません.
 まず,埠頭の上やテトラポッドの上にターゲットマーカーを置き,そこまでの距離を計測した後に,ターゲットマーカーから海面までの高さを測量棒などで計測します.

4.2つの計測値を合計すると,調査時の海面から痕跡境界までの高さとなる.(これはまだ津波高ではないので注意.下で説明します)

(図をクリックすると拡大します)

◎津波遡上高を求める考え方 (下図も参照してください)

上の作業で,2つの測量値を合計すれば海面から痕跡境界までの高さが求められますが,これは調査時の潮位からの高さであり,津波来襲時の潮位からの高さではありません.
また,海面からの境界までの高さなので,TPやDLなどの高さの基準へも数値を変換する必要があります.
そこで,下図に示すように,測量時の潮位と被災時の潮位を求め,その差から実際の津波の高さを求めます.

実際の津波遡上高
・海面からの高さ=測量高+(測量時潮位と被災時潮位の差)
・TPからの高さ=測量高+(測量時潮位と東京湾平均潮位の差)


(下図をクリックすると拡大します)

潮位は近くの験潮所で観測されている観測潮位を用いますが,今回のように大きな津波では三陸の大部分の験潮所が津波襲来時にダウンしており,観測値を用いる事は困難です.
こういう場合には潮位表などを用います.しかし潮位表が適用てきるのは大きな市街地がある数か所のみで,それ以外の場所では潮位表も参考にする事ができません.
そういう場合には,潮位推算をするしかありません.
当研究室ではNAO.99b(※)という潮位推算モデルを用いて各地点の潮位を推算しています.

    (※) NAO.99b:
    Matsumoto, K., T. Takanezawa, and M. Ooe,
    Ocean Tide Models Developed by Assimilating TOPEX/POSEIDON Altimeter Data into Hydrodynamical Model:
    A Global Model and a Regional Model around Japan,
    Journal of Oceanography, 56, 567-581, 2000.


下図は久慈における潮位表とNAO.99bとの比較です.
高さの基準はTP(東京湾平均潮位)に統一しています.
つまり,潮位表基準面は久慈ではTP面よりも72cm低いので,TP値に変換するために潮位表の値から72cmを減算しています.(下の『潮位に関する各基準面の関係』参照)


2つの下図のうち,上図は被災時(3月11日)の潮位変動,下図は調査時(4月3日)の潮位変動を示します.
上図をみると,潮位表水位とNAO.99bによる推算値と良く合っている事がわかると思います.
結果ですが,3月11日の最大波到達時の潮位は約-10cm(TP基準.一般的な標高値)でしたが,調査時の潮位は約38cm(TP基準)であり,被災時よりも約48cm水位が高くなっています.
よって,もし測量時の海面からの津波の高さが10mだとした場合,測量時は被災時よりも48cm水位が高くなっています.

    計算例: 測量時の海面から痕跡の頂上までの高さが10mだったとする.
    測量高:10m (測量時の海面から痕跡境界の頂上まで)
    測量時潮位:38cm (潮位推算より)
    被災時潮位:-10cm (潮位推算より)

      津波遡上高=測量高+(測量j潮位と津波来襲時潮位の差)
      津波高(TP,津波痕跡境界の頂上までの標高)=測量高+(測量時潮位と東京湾平均潮位の差)

      より,

      津波遡上高=10m+[0.38-(-0.10)]=10.48m (被災時の海面から境界頂上までの高さ)
      津波高(TP)=10m+(0.38)=10.38m (TP, 標高)


図- 震災時の潮位変動(2011年3月11日)

図- 調査時の潮位変動(2011年4月3日)

■潮位に関する各基準面の関係(八戸,久慈) (下図をクリックで拡大)
〜東京湾平均潮位(TP)や工事基準面(DL)など,気象庁や港湾の各基準面の関係〜

潮汐は主に気象庁国土交通省で観測されていますが,それぞれで異なる験潮基準面を設定しています.
また,観測した海面の高さ(潮位)の表示方法も,気象庁東京湾平均潮位(TP)からの高さで示していますが,国土交通省独自の験潮基準面からの高さで示しています.

このように気象庁と国土交通省の潮位の表示方法が異なる事から,必要に応じて潮位を別の表示方法の潮位へ変換させる必要があります.

ここでは,八戸や久慈を例に,それぞれの基準面の高さの位置図や,それぞれの高さへの換算方法を示します.

ちなみに,国土地理院発行の2万5千分の1地形図などは東京湾平均潮位(TP)を基準に作成されています.

(TPからDLへの換算例)(下図を参照してください)
八戸の場合, 東京湾平均潮位(TP)工事基準面(港湾DL)の差は-80.5cm.よって,DL=TP+80.5
久慈の場合,東京湾平均潮位(TP)基本水準面(港湾DL)の差は-72cm.よって,DL=TP+72

 注)「工事基準面」と「基本水準面」は同じ.

(図をクリックすると拡大します)

■験潮潮位や潮位表潮位と各基準面の関係,各基準への換算例(八戸,久慈) (下図をクリックで拡大)

験潮潮位東京湾平均潮位(TP)からの高さとなり,潮位表水位潮位表基準面からの高さとなります.

(潮位表水位からTP又はDLへの換算例) (下図を参照してください)
八戸の場合:潮位表で水位が20cmだった場合,
 ・東京湾平均潮位(TP)では,20cm-80.8cm= -60.8cm (TP)
 ・工事基準面(港湾DL)では,20cm-80.8cm+80.5cm=19.7cm (DL)

久慈の場合:潮位表で水位が20cmだった場合,
 ・東京湾平均潮位(TP)では,20cm-72cm= -52cm (TP)
 ・基本水準面(港湾DL)は,潮位表基準面と同じなので20cm (DL)

 注)「工事基準面」と「基本水準面」は同じ.

(図をクリックすると拡大します)

■調査結果例 (図をクリックすると少しですが拡大します)

■調査現場例

痕跡最上部から
(久慈港北部,標高17m)

痕跡最上部から
(久慈南部,標高32m)

痕跡最上部から
(久慈北部,標高18m)

■■漂流物拡散予測シミュレーション■■
津波にともない,陸上から多数の構造物などが海へ流出しました.また,福島の原子力発電所からは汚染水の排水を開始しています.これらは環境に大きな影響を与える可能性があるので,それらが今後どのように拡散をしていくのか予想をして対策を講じる事も重要です.ここでは拡散予測シミュレーションをおこないました.

■計算条件
ここでの流れは潮汐流・海流・吹送流を考慮しています.
潮汐は領域の外境界で16分潮全ての強制水位を入力しています.海流は海上保安庁提供の2011年3月の海流パターン図を参考に,黒潮および千島寒流を入力しました.吹送流は3月には冬型の気圧配置が多かった事から西北西から東南東の方向へ吹く7m/sの海上風を入力しました.
使用したモデルは球面座標系の多層モデルです.
ここでは30日間の漂流物の拡散状況をシミュレーションで求めました.

■計算結果
結果を見ると,全体では,潮汐流や海流は南下方向で,吹送流は東向きである事から,全体で南東方向へ流出しており,三陸,仙台,南相馬周辺から流出した場合,30日間で沖合50km近くまで漂流・拡散しています.


漂流から30日後の状況


拡散アニメーション(30日間)


潮汐による水位変動(16分潮24時間)

Last update;
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